導入前の課題
- 既存の契約書管理データベースのレスポンスが低下
- 契約書作成のプロセスの管理に労力がかかる
- 担当者との折衝をすべて印刷して管理するため保管にコストがかかる
- 専用ソフトを使った高額な契約書管理システムは導入が困難
導入後のメリット
- 「PromotionsCRM」の導入により検索のレスポンスタイムを高速化
- 契約書作成のプロセスをデータで統合し業務を効率化
- 契約書のペーパレス化により書類の量を約1/90に圧縮
- CRMを契約書管理に活用することで導入コストを抑制
1つのコンテンツには、複数の企業が関与している場合が多く、契約書が重要な意味を持ちます。松竹株式会社の契約書管理を担う、同社の法務室室長の山内貴美子氏は「契約とは当事者の合意で、それを書面化してはじめて契約書になります。法律上は口頭でも契約は成立するのですが、紛争の未然防止や裁判の証拠といったリスクヘッジの観点から契約書で残しておくべきです」と契約書の重要性を説明します。
同社の法務室には毎月50~60件、グループ各社を含む各部署から新規契約書の作成依頼があります。また、法務室では締結に至った契約書の原本を預かり、預かった契約書の更新期限の管理を行うなど、管理すべき契約書はかなりのボリュームになります。同社法務室の杉原結伊氏は「これまでの契約書は自社向けにカスタマイズしたAccessを使ったデータベースで管理していました。しかし契約件数の増加に伴い、必要な契約書を検索するスピードが落ち、ときにはシステムがダウンすることも。さすがに限界が来ていました」と課題を語ります。
また、別の側面から山内氏は「当社の契約書は関与する企業が多く、1回のやりとりで締結できることはほとんどありません。これまではメールのやりとりなどを含め、すべての経緯を印刷して紙で保管していたため、無駄な紙は使うし、保管場所の確保も大変でした。これらの紙をすべてデータ化して管理したいと考えていました」と新たな契約書管理システムに対する要望を語ります。
さらに、これまで法務室のみで使用していたシステムを全社展開することで、契約書の作成を依頼する部門が作成した「契約書作成依頼書」の内容を法務室のデータベースへ再入力する二度手間の改善など、同社では業務自動化のためのワークフローの導入を含めたシステム更改を決断したといいます。
新たなシステムの導入にあたり、同社では数社に提案を依頼。数ある提案の中からCRMサービス「PromotionsCRM」による契約書管理システムの構築を選択しました。大手CRMブランドも名を連ねる中から選ばれた理由はどこにあったのでしょうか。「競合他社に比べ1/3~1/4の導入コストで、その時点で要求していたすべてのオーダーに応えられる提案を高く評価しました。小規模な会社ならではの軽快なフットワークにも期待したのも事実です。もちろん、小規模な会社ですから、なにかあったときのためのリスクヘッジを含めた契約書もきっちり締結していただきましたが(笑)」と山内氏はサービスを選択した当時を振り返ります。
「PromotionsCRM」の最大の特長はCRMに必要なすべての機能が固定料金で利用できる点にあります。また、通常のCRMソフトがユーザーライセンス単位で課金されるのに対し、「PromotionsCRM」はユーザーライセンスフリーで利用できるため、いくらユーザー数が増えても料金は変わりません。しかも、クラウドサービスなのでサーバー運用も不要。インポート、エクスポート機能も標準装備しているため、データの移行も容易。こうした特長により、導入にかかるコストを抑えられるのです。
さらに「専用の契約書管理データベースの導入にはカスタマイズも含めれば数百万円から2千万円くらいかかることもあります。それをCRMサービスで代用し、私たちの業務内容に合わせて細かい部分までスタマイズをお願いしました」と山内氏が語るように、自由にカスタマイズできる点も「PromotionsCRM」の魅力です。「契約書を作成するときにやりとりするメールを添付ファイルも一緒にデータベースに飛ばして、ひとつのフォルダにまとめられるのは、唯一、PromotionsCRMだけでした」と、杉原氏もカスタマイズの柔軟性を高く評価しています。
導入決定後、約3ヵ月でフェーズ1の既存データベースからのデータ移行を終え、ほぼ1年後にフェーズ2の全社展開を完了。「PromotionsCRM」を使った新たな契約書管理システムが稼動を開始しました。
すでに導入から2年近くが経過。導入時は3,000件だった契約件数が現在は倍の6,000件を越えていますが、期待通りのパフォーマンスで一度もダウンすることなく安定して稼動しているといいます。「やりとりしたメール、添付ファイル、コメント、押印した原本まで、契約書ができるまでの過程をすべて統合して管理できています。これまでのように紙で出力して保管する必要もなくなりました」と山内氏は導入の効果を実感しています。また杉原氏は「以前は年間で大きなファイルケース25~26箱を保管する必要がありましたが、導入後は1箱未満になりました。約8~9万円くらいかかっていた用紙、ファイル代などが、約1,000~1,500円に抑えられています。加えてファイルをまとめる手間、キャビネットや保管場所の増設による負担などを含めると非常に大きなコスト削減が図れています」と効果を具体的な数値で算出しています。
契約書管理システムを全社展開することにより、契約書を管理する効率もアップしたといいます。「これまでは契約書をつくる際には依頼書を法務室に紙で持参してもらっていたのですが、いまではすべてWeb上で申請や承認ができます。以前のように上司の机に判子をもらいに行く手間もなくなり、依頼者と承認する上司が席にいればすぐに契約書の作成依頼ができるようになっています。おかげで距離があってなかなか法務室まで足を運んでくれなかった関西支社やグループ会社からの依頼も増えました」(杉原氏)
新たな契約書管理システムを更改したことにより、次なる展望も見えてきました。「じつは利用者のアカウント管理が大変で、人事異動があるたびに契約書の引継ぎが発生。現在はアカウントの付け替えを手作業で行っていますが、この部分を簡素化したいですね」と山内氏が語れば、杉原氏も「まだ眠っている機能を使って商標や相談案件などを管理できたらいいなと思っています」と、それぞれの展望を語ってくれました。
このようにピンポイントな業務からCRMサービスを導入し、徐々に効果の出そうな領域へと拡大できるのも、多機能でカスタマイズも自在な「PromotionsCRM」の大きな強み。まずは、いちばん効果の出そうな業務から使いはじめて、段階的に利用する範囲を広げていくのがベストな使い方なのかもしれません。